社会起業家塾 | ART STANDARD.

社会起業家塾

社会起業家塾が仙台に発足しました。

塾長はせんだい・みやぎNPOセンターの代表理事である加藤哲夫さんです。

第2回の今回は21日・22日連続でした。ファシリテーター役を加藤さんにしていただき、NPOや社会起業家について勉強しました。参加者は11名。デュナミスの代表の渡辺一馬さんや青少年交流振興協会の伊藤さんなども参加です。


21日】レポート&感想

■この塾の発足背景 

省略します。

■名札作り

みんなの名前がわかるようにA4用紙を折って三角型の卓上名札を作りました。所属・名前を書き大きくマジックで書く。加藤さんはひとつひとつの動作に「考え」「ツール」「スキル」があります。いつもマジックとホワイトボードにくっつく強力磁石を持っています。


自分の七つ道具を決めておこうと思いました。何をするにも道具が必要です。武装なしで戦いを挑むことはできませんし、成果もあがりません。最近読んだ本で『考具』という本がありました。アイディアはパッ!と生まれるのを待つのではなく、生まれるように自分の中に考えるための道具「考具」を持つことが必要といった内容。自分のひとつひとつの動作、毎日の生活に七つ道具・考具を備えようと思います。今の自分の七つ道具のひとつは三色ペンとメモ帳、ほぼ日手帳、カバンに3冊本を持っていくぐらいかなぁ。


■人間の繋がりについて

灯台下暗し 近くで頑張っている人間の評判は、他の土地に行って評判を知る。

比喩 土で山を作って上から流す。ひとつの溝ができると同じ溝を水は流れていく。

この比喩のようにチラシを同じ場所に巻くと同じ人にしか行き渡らない。

リーダーも同じだと同じ人としか繋がらない。


比喩を使うととっても説得力がある。それはイメージができるからでしょうね。1アプローチでは1つの溝しか作れませんので、他の溝を作るにはもうひとつのアプローチが必要なのですね。


■名前を読んでもらう仕組み

名前を決めるとき字面や画数だけじゃなく音も重要。カズマのようにクチが開く音だとみんなから名前で呼ばれやすい。テツオ クチをつぼむ音が最後なので名前で呼ばれない。


言葉の魔力は恐ろしい。なにげないところに法則は隠れているのですね。


■『社会的な問題に感度が高い人を増やす』ために

社会問題を考えよう!そんな話をするとまわりから浮いているようにみられがち、浮かずに場作りする技術を学ぶことも大切。


加藤さんのファシリテーションは幅広い素養あってこそだなと思った。どんな質問に対しても知識と経験談で話を繋ぐ。そして最終的にはこの場で議論していたところとリンクしていく。


■実効性のある研修プログラム

研修する→コメント・アンケートを書く→フィードバックする


セミナー等に参加したとき感覚的にわかったで終わってしまい伝承できないことが多い。一度聞いた公演は自分でそのテーマについて講演がひらけるぐらい熟知しないといけないと思った。

インプット→コミュニケーション→自分なりにアウトプット。実践していこう。


■ws『自分の理想の社会起業家』はだれ?

●(株)プレスオールターナティブ 片岡勝

● NPO法人エティック ETIC. 宮城治男

http://www.etic.or.jp/etic/index_saiyo.html

● harappa 三浦さん

http://www.harappa-h.org/

● 河野和義さん 全国太鼓フェスティバル

http://www.3riku.jp/taiko/

● 佐藤章二 THE BIG ISSUE  ビックイシュー

http://www.bigissuejapan.com

● アニタ・ロディックとゴードン.ロディック 「ボディ・ショップ」の創業者 THE BIG ISSUEの創始者

http://www.bigissuejapan.com  に詳しくのっている。

● アンドリューモーソン 社会起業家第1人者 コミュニティー・アクション・ネットワーク(CAN)

● 松場登美 郡言堂 http://www.gungendo.co.jp/index.html

などなど


思いつかなかった。まず自分の目指すソーシャルアントレプレナーを見つけることをしようと思った。それは1人じゃないかもしれない、多くのソーシャルアントレプレナー、ソーシャルエンタプライズを分析して、自分の目指すエッセンスを抽出したいと思う。後々には自分の会社にソーシャルエンタプライズにしたい。


■『なぜホームレスの人がいるのか?』

主な原因は失業である。「仕事がある=社会に必要とされている」という意識が多くの人々にあるため、仕事を失うことで人生の階段をひとつ踏み外した感じを受ける。そして経済的に苦しくなり、サラ金に手をだし、人間関係は切れ、アルコール依存症、ギャンブル依存症に陥り、やがて住居を失い、病気になり、完全に世間から切り離される。女性の場合はDVが原因でホームレスになる人も1割ほどいる。

このように日本は社会から「落とす仕組み」はたくさんあるが、「上がる仕組み」がない。

社会に対するデモ行為、自分はそう浮かんだ。そういう人もごく一部にはいるとのことだったが、問題を抽出するときに少数派に囚われては問題解決にはならない。


■日本は法治国家ではなく、放置国家

憲法25条で「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と書かれている。憲法は、政府・公務員が守るべき最高法規である。市民が守るものと勘違いしている。

市民は税金を払い、憲法という約束の下、権力を政府・公務員に委ねているのに、憲法25条を知らない公務員が多くいる。


日本国憲法解説付きHP
http://www.kyoto-su.ac.jp/~kazyoshi/constitution/index.html

第二十五条【生存権、国の生存権保障義務】
1 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
憲法25条の定める「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を「生存権」という。

資本主義が発展すると、国民の間で貧富の差が拡大し、無産者の生活は苦しくなる。この様な状況下でも、すべての国民に人間らしい生活は保障されるべきであり、国家は積極的に役割を果たすべきであるという思想(「修正資本主義」あるいは「福祉国家観」)が20世紀に入って生まれ(従って生存権を「20世紀的権利」と呼ぶこともある)、日本国憲法でも取り入れられた。

僕らは法で規制されているが、日常の中でそう思ったことはほとんどなかった。他人事であった。法律・政治に関して勉強が必要だと思った。社会問題を考える上で法律・政治を無視することはできないので。


■市民社会の高まりを生んだ2つの出来事

●薬害エイズ訴訟 エイズ予防法、ライ予防法

安全が確認されていたにも関わらず、30年感染者を拘束。 政府が過ちを認めた。

NPO法 市民が呼びかけて作った。行政のために開いた説明会にはほぼすべての都道府県の担当者が来た。


NPO法がどれだけの市民の力が注がれてできなことなんて知らない。でも実際は熱き市民が訴えかけて勝ち取った法律なのである。今の法律がずっと正しいんじゃない。今の法律が今の時代の正義とも限らない。抜け落ちているところはいっぱいある。次代は変化し、進歩する。その流れに法律もついてこなければ不具合が起こるし、抜け落ちている穴を訴えるのは市民しかいないのだから僕らはもっと目を向けなければならないと思った。


■社会起業家(ソーシャルアントレプレナー)

アメリカではシビックアントレプレナーと呼ぶ。(市民起業家)

社会起業家の起源は、ソーシャルアントレプレナーといいイギリスから始まった。80年代初頭イギリスの首相だったサッチャーは、前政権の労働党政権下では国有化を進めていた流れを民営化に変えた。(今の小泉首相のように。)

同時にVC(ボランタリーセクター)にも力を入れ、コミュニティービジネスを支援した。90年頃ブレア首相のとき、シンクタンクであるデモスがソーシャルアントレプレナーを研究。ブレア首相はソーシャルアントレプレナーを支援した。

詳細は『社会起業家「よい社会」をつくる人たち』PHP新書 を参考に。


ソーシャルエンタプライズも生まれている。

例えば、ホームレス支援雑誌「ザ・ビックイシュー」など。

CSRのブームもそのひとつ


社会起業家の定義

「社会的課題の解決にむけて、アイデアや情熱、事業的視点を持って人々を巻き込んでいく人」


ソーシャルアントレプレナーに必要なもの→ メンターがいること・本をたくさん読むこと


歴史を知ることは必要。まだまだ概要なので『社会起業家「よい社会」をつくる人たち』PHP新書を読んで見ます。


■感想カード

今日一日の塾での感想文を書き、その場は終わった。交流会でここで書いた感想カードはみんなでシェアした。


■交流会

せんだい・みやぎNPOセンターで交流会が行われた。夕食を食べながらの他己紹介。2人ペアになり5分間でその人のことを話す。今回のお題は「大学時代に変わったこと」それをお互い聞き出して2分間みんなの前で他人になりきって紹介した。


その後、ひとつの新聞記事をみんなで議論した。「少年被告の殺人事件、成人よりも刑重くと答えた人が25%いる」という記事。この場でも意見は分かれた。

加藤さんはこの記事に対して若者は怒らなければならないと言っていた。はじめは何で?と思った。加藤さんによると未成年は選挙権やたばこ・お酒など、いろんな権利を剥奪されている。それはまだ人間として未成熟な部分があるから。そんな社会が守らなければならない未成熟な人間に対して成人よりも刑を重くするなんて論理的に考えておかしいという指摘だった。

またこのアンケートの結果は少年犯罪が増えていることへの世間の危惧であるが、実際少年犯罪は昔よりも凶悪化もしていなければ、件数も増えていない。着実に減っている。マスメディアによるデフォルメした報道に誤解をしているだけなのだ。こういった世間の常識と事実には大きな誤差が生じる。この誤差をなくし、真実を見る眼を養うことこそ必要なのである。何かしら社会に対して活動している者が、誤解しての行動は何もしないよりも自体を悪化させかねない。


このひとつの新聞記事に対してそこまで感度の鋭い加藤さんに脱帽してしまった。すっすごい。その後もいろんな話が飛び出し、夜が更けていきました。こういった硬い、まじめな社会の話をしながらお酒の飲むことって楽しい!これからもこういうことを話せる仲間を増やして生きたいなーと思った。常日頃、社会を洞察する眼を本や様々な人と話をして養っていきたいと思います。最近読んだ光文社新書の竹内薫氏の『99.9%は仮説』もそういった一般常識と現実のギャップを書いた本でした。